用事があって、街に出たついでに、遅いおひるごはんを食べることにした。
ひとりでも気軽にはいれて、ヨーロッパの家庭料理みたいなごはんがいいなあ、と歩いていたら、白樺の木をトーテムポールのようにあしらって、そこにset lunch from £5.50という手書きの黒板をかけているお店があった。真っ白な壁にRussian street food & bar(ロシアの屋台料理とバー)と書いてある。小さな看板が軒先きに吊り下げられていて、とても穏やかな店構えだった。大きな窓から店内を覗き込むと、数人お客さんがはいっていたが、静かに談笑しながらお食事している様子が見えた。
もう少し先に、行ってみたいポーリッシュの素敵なお店もあったのだが、そちらはなかなかのお値段で、ひとりより数人で行っていくつかの料理をシェアするのが良さそうだから、ここに入ってみることにした。
ランチメニューをみると、starter, soup, hot, sideとメニューがあって、そこから1皿だと£5.50 2皿£8.50 3皿£11.50 4皿£14.50という事だった。
とりあえず、Draniki(potato rosti)ハッシュドポテトのようなもの+サワークリームの前菜と Don Ukha Fish Soup チキンとフィッシュの合わせストックにタラ、鮭、ポテトとローストしたチェリートマトがはいったスープのふたつを頼んだ。
黒パンがついてきた。嬉しい。
お味はかなり薄めで、お塩を足したのだけれど、濃すぎるよりはいいや。
ドラニキにサワークリームをつけながら頂いた。
スープは半分位食べてから、このサワークリームをおとしてみたら、まったりスープに変身して、2度美味しい。
3時すぎていたから、先にきていたお客さんもそろそろ食べ終えてでていき、店内は自分だけになった。ところで、お店の給仕さんはもちろん、お客さんは皆ロシアの人で、ロシア語の会話が響いていた。(ロシア語がわかるわけではないが、タルコフスキーの映画が大好きだから、耳に馴染みある言語である)ロンドンにいながら、ロシアの雰囲気を味わう。
ずっと昔、80年代の後半、乗り換えでモスクワのトランジットホテルに宿泊した時のことを思い出した。
excuse meと何度か叫んでみたら、10m位先の奥の方のドアがぱたりと開いて、そこから女性がでてきたので、食券を渡した。
女性が、待ってなさい、という仕草をして、食券をもってその部屋に戻り、ドアが閉まると、暖かい灯りも賑やかな人の音もパタリと消え、また蛍光灯のぼんやりとした寡黙な空間へ戻った。
5分ほどして、女性が持ってきたのは、ストレートティーと薄くて冷たい黒パンひときれだった。
携帯もインターネットもない時代、日本に帰るのに30時間位かけて、旅していた頃のおはなし。
ロシア料理で腹ごしらえをして、また街にとびだしたら、通り雨が降ってきた。
雨宿りにとびこんだお店が、レコード屋さんであった。(全くの偶然)
ヴァイナル盤にCDにDVDにポスターに書籍、映画に音楽もなかなかセレクションが広い。
日本盤のCDを見つけた。£3とか嘘みたいに安い値段で、ミンガスやパウエルなど、買い求めた。(日本盤はライナーノーツに対訳などがしっかりついているから嬉しい)
羅生門に砂の女に小津安二郎の映画まで、そろえてあった。
ひとりでも気軽にはいれて、ヨーロッパの家庭料理みたいなごはんがいいなあ、と歩いていたら、白樺の木をトーテムポールのようにあしらって、そこにset lunch from £5.50という手書きの黒板をかけているお店があった。真っ白な壁にRussian street food & bar(ロシアの屋台料理とバー)と書いてある。小さな看板が軒先きに吊り下げられていて、とても穏やかな店構えだった。大きな窓から店内を覗き込むと、数人お客さんがはいっていたが、静かに談笑しながらお食事している様子が見えた。
もう少し先に、行ってみたいポーリッシュの素敵なお店もあったのだが、そちらはなかなかのお値段で、ひとりより数人で行っていくつかの料理をシェアするのが良さそうだから、ここに入ってみることにした。
ランチメニューをみると、starter, soup, hot, sideとメニューがあって、そこから1皿だと£5.50 2皿£8.50 3皿£11.50 4皿£14.50という事だった。
とりあえず、Draniki(potato rosti)ハッシュドポテトのようなもの+サワークリームの前菜と Don Ukha Fish Soup チキンとフィッシュの合わせストックにタラ、鮭、ポテトとローストしたチェリートマトがはいったスープのふたつを頼んだ。
黒パンがついてきた。嬉しい。
お味はかなり薄めで、お塩を足したのだけれど、濃すぎるよりはいいや。
ドラニキにサワークリームをつけながら頂いた。
スープは半分位食べてから、このサワークリームをおとしてみたら、まったりスープに変身して、2度美味しい。
3時すぎていたから、先にきていたお客さんもそろそろ食べ終えてでていき、店内は自分だけになった。ところで、お店の給仕さんはもちろん、お客さんは皆ロシアの人で、ロシア語の会話が響いていた。(ロシア語がわかるわけではないが、タルコフスキーの映画が大好きだから、耳に馴染みある言語である)ロンドンにいながら、ロシアの雰囲気を味わう。
ずっと昔、80年代の後半、乗り換えでモスクワのトランジットホテルに宿泊した時のことを思い出した。
モスクワ経由の英国→日本への格安のフライトだったから、夜遅くに到着して明け方の出発まで6〜7時間のロシア滞在。
ユースホステルのようなところで、中国人の女の子と相部屋だった。
軽食が無料で食べられるというので、ひとり、食堂に行ってみたが、もう受付カウンターは人もいなく、蛍光灯のぼんやりとした薄暗い空間に、だだっ広い食堂と静寂が広がっていた。
おなかすいてたなあ。今と違ってユーロとかカードなんてない時代だから、ロシアの貨幣がないと水さえ買えないわけだから、ただで口にできるものはとても貴重だった。
excuse meと何度か叫んでみたら、10m位先の奥の方のドアがぱたりと開いて、そこから女性がでてきたので、食券を渡した。
その彼女がでてきたのがおそらく厨房で、開けっ放しのドアの向こうに暖かいろうそくの灯りがあって、5〜6人の男女が、小さなテーブルを囲んで、酒盛りしながら、ギターを弾いている様子が見えた。あ、これがロシアのリアルな様子なんだって、ちょっと心が踊るような光景だった。
女性が、待ってなさい、という仕草をして、食券をもってその部屋に戻り、ドアが閉まると、暖かい灯りも賑やかな人の音もパタリと消え、また蛍光灯のぼんやりとした寡黙な空間へ戻った。
窓の外は真っ暗で、よく見ると、白樺の木に囲まれていて、びっしりと雪が積もっていた。
人気もなく、世界中の人がどこかに消えてしまったのではないかと思えたよ。
5分ほどして、女性が持ってきたのは、ストレートティーと薄くて冷たい黒パンひときれだった。
相当がっかりしたのだが、それで翌日のフライトのランチまで何も食べられらないわけだし、なにか、ロシアの侘び寂びを違う形で体験しているような気もして、冷めていく紅茶をすすりながら、ちびちびと黒パンをかみしめて、窓の外の冷たい静寂と闇にうっすら光る白樺と雪の白さと、閉じられた奥の部屋から少し漏れてきたろうそくの灯りに目をやりながら、ロシアを味わった晩だった。
携帯もインターネットもない時代、日本に帰るのに30時間位かけて、旅していた頃のおはなし。
ロシア料理で腹ごしらえをして、また街にとびだしたら、通り雨が降ってきた。
雨宿りにとびこんだお店が、レコード屋さんであった。(全くの偶然)
ヴァイナル盤にCDにDVDにポスターに書籍、映画に音楽もなかなかセレクションが広い。
日本盤のCDを見つけた。£3とか嘘みたいに安い値段で、ミンガスやパウエルなど、買い求めた。(日本盤はライナーノーツに対訳などがしっかりついているから嬉しい)
羅生門に砂の女に小津安二郎の映画まで、そろえてあった。
☆レシピブログ☆