Island songs

この数年大好きなアーティスト、オーラブル・アーナルズの
イギリスでの新作「Island Songs」リリース
それと映像上映会がイーストエンドのラフトレードであった。

知れば知る程、興味深い人だ。

彼を通してアイスランドにどんどん魅せられる。

ママにとって、アイスランドと言ったら、ビヨークが真っ先に浮かぶのだけど、彼女がメジャーデビューする前のインディーバンドSugar Cubesのその前のバンドにいた頃のライブ(Physic TVやNick Caveなんかがラインナップのオルタナパンク全盛期のフェス)を観てぶっ飛んだ記憶がある。アイスランドの音楽シーンについてはwiredのこちらの記事で説明されてる→氷の島と音の巡礼:アイスランドの音楽エコシステムを巡る ーSounds of Iceland Pt.1

オーラブル・アーナルズを知ったのは、彼が2011年の坂本龍一氏のヨーロッパ公演のサポートをしていたからだった。(2011 教授とハンブルグで共演した際のライブ映像)(その時の事をaromayaとして書きのこしたやつ’Pabrolibreの香り’)このツアーはU-streamで旅の工程からリハーサルにライブに至って、実況中継されていたから、ママは時間が許す限り、彼らのヨーロッパツアーライブを拝見した。
東北大震災のあった後で、教授は音を通して、鎮魂という葬いをしているのではないかと、そんな気持ちでライブを耳にしたからね。教授がこの特別なツアー共演を承諾した、当時、まだ25歳の音楽家、オーラブルの活動が気になり始めた。

オーラブルについての詳細はこちら参照→オーラヴル・アーナルズ:「ポスト・クラシカル」の鬼才と21世紀のロマン主義 ーSounds of Iceland Pt.3

Island Songsに納められた楽曲はどれも、鳥肌ものだけれど、心を捉えて離さなかったのはこれだった。アイスランドのインディー・フォークバンド'Of Monsters and Men'のリードシ
ンガーのNannaをフューチャーした'Particles'(微粒子という意味)。
彼女の在籍するバンドは2010年のデビューアルバムでいきなり全米ビルボード200で初登場6位を記録してる。2013、15年とフジロックですでに来日公演もしてる。
素晴らしい質感の歌声のシンガーなんだ。

これは、彼女の出身地出身地ケプラヴィークにある灯台の中で演奏されているんだけど、まるでデザインされたように美しい、でも、限りなく自然でオーガニック、有機、生きている。今回のアルバム"Island Songs"はCDにDVDもついていて、これらの映像をドキュメンタリーで見ることができる。演奏が始まる前に、オーラブルとナンナが灯台の周りの海辺を歩きながら、いろいろな事を語る、そこに更なる魅力がある。一つの楽曲が出来上がるまでにはたくさんのストーリーが紡がれているのを感じ取れるような気がする。


11月1日、ロンドンのインディーズの老舗、ラフトレードeast店で行われたCDリリースに伴う短編フィルム上映会は、映像の後、オーラブル本人と映像監督のBaldvin Zophoniassonさん、BBC6のDJ、 Mary Anne Hobbs(同世代!)さんとのトークに、会場とのQ&Aで盛り上がった。CDにはDVDがついてくるけど、会場の音環境は、家で見るのと大違いのスケールで、ママは、サラウンドで体感できる音の臨場感にとてつもなく感激した。

それから、なんて、素敵な人たちだったろう。

Island songsのコンセプトは、このアルバムの前作、Living Roomから始まっていて、それはオーラブル(でもオリーと発音してらしたので、オリーとしよう)の自宅に毎日それぞれのアーティストを招待して7日間で7つの楽曲を共作するというものだった。

Island Songsアルバムでは、オリー自身が共演したいミュージシャン、アーティスト達を訪れて、その地で共演録音されている。さすがに7日間では無理だという事で、一週間にワンロケ、で七週間かけて収録されたそうだ。


例えば、一曲目は、Einar Georg Einarssonというアイスランドを代表する詩人のポエトリー・リーディングから始まっている。ドキュメンタリーの方で、この人の良さそうなおじいちゃんは、子供の頃、とても辛い’虐め’にあっていたそうで、誰にも見つからない海辺の隠れ家を見つけてから、詩を書くようになり、この詩を書いた時は14歳と言ったっけ?

拙い英語力で聞いているから、もしかしたら違っているかもしれないけれど、司会のMary Anne Hobbsさんの言葉をなぞると、「ある日の夕方、あなた方の映像が届きました。6時位かしら、私はシェファーズパイ(羊肉とマッシュドポテトをグレービーで焼き上げる伝統的な英国料理)をつつきながら。あなた方の映像を心から見入ったのです。そして、アイナーのポエムに聞き入り、そこに込められた感情や臨場感に浸りました。」

この時のインタビューで、オリーさんは、もし自分がそんな執拗な虐めを経験していたとして、アイエナーのように80代になって、それを過ぎた事として、こうやって、詩読みできるとしたら、それは素晴らしい歳の取り方だと思うって、それから、彼のポエトリーリーディングを聞くだけで、胸いっぱいになる、って答えていた。

そんな曲で始まるアルバムをとある日の夕方6時にシェファーズパイをつつきながら聞いたというアンさんは、深く頷いて、これは、音のカンバセーションが引き起こす感激の記録というような、とても素晴らしい表現をされていた。

というか、この冬時間のロンドンで、忙しいメディア勤務の方が、すっかり夕暮れて真っ暗な夕方6時にシェファーズパイを自宅で頂くって、すごく特別な自分の時間だと思う。

本当にトークが面白かったので
書きたい事は山ほどだけど、そこらへんは、本業のメディアさん達の発信をとても楽しみにしています。
(コトリさん、今回は、コトリさん通信ビヨンドになってる)

ラフトレードからの帰り道のイーストエンド

ママはとても平穏で心優しい気持ちになっていた。